大判例

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東京高等裁判所 昭和40年(ネ)711号 判決

被控訴人は本件二通の手形金債権に基づき控訴人ら全部を債務者として甲府地方裁判所都留支部に対し前記根抵当権実行のための競売の申立をなし、(中畧)爾来右手続進行して、右不動産の一部が競落され、その代金が支払われ、右競売代金の配当が実施され、被控訴人においてこれを本件債務のうち手形金の一部弁済に充当したのであつて、競売法による競売は差押(民法第一四七条第二号)と同様に時効中断の効力を有し、かつその効力は右競売申立の時に生ずるものと解すべく(昭和一三年六月二七日大審院決定参照)、または競売の結果、売得金が競売申立の基本たる数口の債権のうち或る口の債権には全然充当されなかつた場合でも、申立債権の全部につき時効が中断されることは勿論であるから、前記承認後再び進行を始めた本件全債務の消滅時効は、右競売の申立てられた昭和三一年五月一一日から右配当の実施された昭和三七年二月一日までの間中断していたものというべきである。そして右配当の日から三年以内である昭和三九年二月三日に、被控訴人が本件債務より右配当金を控除した残額およびその主張の約定遅延損害金の支払を求めるため本訴を提起したことは本件記録上明らかであるから、右残債務の消滅時効はこの訴提起の時に中断し、遂に完成するに至らなかつたものである。

控訴人は被控訴人において本訴提起時前昭和三八年六月二日右競売の申立を取下げているので、競売開始決定による時効中断の効力は競売申立の取下によつて初より発生しなかつたことに帰着する旨主張する。

しかし本件にあつては、(証拠)に弁論の全趣旨をあわせ考えると、競売に付された前記各不動産の一部が叙上のとおり競落されその競売代金の支払並びに配当も済まされた後に、残存する競売物件の田二筆についてその昭和三八年三月一三日の競売期日における最低競売価格が僅かに合計金三、六〇〇円を算えるだけであり、債権者においてこれが競売手続を続行する実益を喪うに至つたため、この部分についてだけなお存続する競売の申立を取下げたものと認められるから、この取下は、右配当金の交付によりすでにその手続を完了している部分にまでも影響を及ぼすものではなく、したがつて、右競売申立時から右配当終了時まで持続したところの、本件債務全部についての時効中断の効力が右一部取下により遡つて消滅すべきいわれはない。

(奥野 野本 萩原)

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